インタビュー : ジャズ・ヅゥー・イン・チェン

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Aug 16,2023

ジャズ・ヅゥー・イン・チェンは1990年台湾生まれの作家。10年に及ぶヨーロッパでの活動ののち、現在はバンチャオ435芸術特区を拠点に活動をしている。

彼女自身について、また彼女の制作活動について少しインタビューを行った。

バックグランドについて少し教えてください。

ほとんどの台湾の人とは違って少し伝統的ではない、フレキシブルな育ち方をしたと思います。私にとっては幸運でしたね。

子供の頃から文化的な物事に触れる機会が多くありました。母は音楽を勉強していましたし、父もクラッシック音楽がとても好きでした。リサイタルや美術館にもよく行っていました。

成長期の過程での興味の矛先はどこにありましたか?

アニメや漫画は大好きでした。18歳の頃くらいまではよくお小遣いを貯めてグッズを買いに行っていましたね。ナルト、トリニティブラッド、ブラックジャックなどが大好きでした。

12歳くらいになった時にMSNチャット(当時の匿名オンラインチャット)でフィンランド人と友達になり、メタル音楽と出会いました。そこからさらにゴスのサブカルチャーにハマり、難解でニッチな音楽に対する興味がいままでずっと続いています。

その間中、作品を作ることは常に続けてきましたね。

アーティストとしてのキャリアはどのようにして始まりましたか?

私の母が地元のギャラリーに連れて行ってくれたことがきっかけでした。そこで自分のアートの講師が展覧会をしていたのです。地元のギャラリーのマネージャーさんがポートフォリオを見たいと言ってくれ、パン屋の小さなギャラリースペースで17歳の時に初めて展覧会をさせてもらいました。その時はとても大きなことに思えましたね。招待状を作ったり、ラベルやフライヤーを作ったり、、その頃の自分にとっては大きな仕事で、でも一つ一つとても楽しんでいました。

あなたにとってのインスピレーションは何ですか?

最近は中世のイメージや宗教、イコン的なモチーフ特にルネサンス期のものにインスピレーションを受けています。他に、コウモリや神話的生き物、グリーンマンなどが入っているものはいつも集めていますね。

今は特にメメントモリ、メイデンのモチーフにとても惹かれています。インスタグラムで@monstersholdingbitches というアカウントがあるのですが、私の“death and the maiden”という作品に直接影響しています。

好きな作家は誰ですか?

たくさんいるので、答えるのが難しいですね!

アルブレヒト・デューラーは外せません。彼の漫画のような描写は時代を超えるものがあります。

マックス・エルンストも(雨後のヨーロッパは一番好きな作品の一つです)。

現代美術だと、会田誠、そして私の恩師でもあるエレノア・クルックが好きな作家ですね。

作品を作る中で一番エキサイティング、魅了される場面はどんな時ですか?

初めのスケッチと、ディティールの時ですね。アイディアをスケッチに落とし込む時は大好きですし、鉛筆やペンで描画するときの筋肉を動かすのが大好きです。

ディティールのステージでは、制作の際にある程度のところまではプランを練ってから制作します。そこから細かいディティールに取り掛かりますが、その時の形やフォームは自然と出てきますね。私の作品がどれだけ計画され複雑にみえても、直感的に制作することを好みます。自分でも結果にはよく驚かされることがありますね。

プロフィール

ジャズ・ヅゥー・イン・チェンは1990年、台湾出身。イギリス、ヨーロッパ各国で10年活動したのち、現在は台北のレジデンスを拠点に活動。セントラルセントマーチンズで修士号を取得したのち、台湾、ヨーロッパ各地で作品発表を重ねる。チェンは解剖学や医療の文献にあるイメージの美しさやグロテスクな面、そして神話や伝説(北欧の神話や山海経)などに興味をもち、作品を制作している。それらの解剖された構造的イメージを(に手を加えor元に戻す様に)して伝説的妖怪や植物のディティールを加えてタブローに描き起こす。タブローを通じて彼女にとっての文化的摩擦や迷信、自身の台湾のルーツ、愛の様相を表現している。